ゲレンデ行きのバスの中でも中村さんのことを考えていた。
メンバーには知り合いが亡くなったとは言った。
中村さんのことなんて今のメンバーには分からないし、なるべく皆に湿った雰囲気にならないように、それ以上言わないようにした。
明け方ゲレンデのハウスに到着し、支度をしている間に葬儀場に電話をした。
お通夜に参列できない代わりに、お花を出してもらった。
ゲレンデは快晴だった。
リフトで山の上に昇り、手を合わせた。
今は一番中村さんに近い場所。
数本滑り、携帯を見ると
中村さんの携帯から着信が!
電話があったことを言い、タバコ休憩といってハウスへ戻り電話をかけることにした。
一服して気持ちを落ち着けていると、着信が!!
出ると、中村さんの家族からだった。携帯のメモリからあちこと連絡をしているらしい。
出先で、今夜のお通夜に出れないことを伝え、明日の告別式に参列できるかたずねると、
「喜ぶはずですから、是非いらしてください。最後に顔を見てやってください。」と言われた。
よかった…よかったよ…中村さんに会えるよ!
声が詰まって、うまく話すことができない…
ゲレンデに面した喫煙所で電話を片手に涙が止まらなかった。
しばらくしてリフト乗り場に向かうと、丁度K子が手を振っていた。
「明日、告別式に参列できるって。」
皆がよかったねと言ってくれた。
ご飯にしているときも、お土産を選んでいるときも、帰るときも。黙っているときはずっと中村さんのことばかり考えていた。
スノボーは楽しんでいたよ。楽しんでいたはず。
告別式に参列できるって分かったんだもん。
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