細胞の数を正確に数えるべく、集中するためにヘッドフォンをしていた。
ちなみに、コンフォーカルと同じソフトが入っているパソコンは先生の部屋の前室で、共用プリンターと給湯シンク、隣のラボの秘書さんのデスクがある。
まぁ時間も時間だから、秘書さんは当然いないわけで、うちと隣のラボの人たちがプリントアウトした書類や、お茶を淹れにくる人たちがやってくる。
パーテーションで仕切られているとはいえ、私の正面にはプリンターがあり、プリントアウト待ちの人が見える。
私は人の出入りする足音で集中できなくなるので、本当に集中したいときはヘッドフォンをしたい。クライオの前に座っているときはテンションあげたいって言うこともあるが、その時の私はかなり集中してプリントと画面を比べて、数え損ねの無いようにと細胞に印をつけていた。
決してリラックスしていた雰囲気ではない。音楽はただの耳栓程度で、口ずさむようなことは全く無かった。
先生が私の隣に立ったので、ヘッドフォンをはずすと
「数を数えるということは実験の基礎中の基礎なんだ!音楽聴きながら正確に数えられるはずが無い!!」
(゚Д゚) ハア??
さっきの1.5倍の差が出たことに対しての怒りらしい。それはまだ適当で、大まかな数として捉えたんですけど…。
音楽を聴きながら数えた数字は信用できない!ということらしい。
さらに先生は続けた。
「クライオの前で鼻歌しながら作業するのとは違うんだ。数字が不正確ならその後の統計処理にも影響がでてくる。嘘を論文にすることはできないし、その論文が糾弾されたら名を連ねてる人たちの将来が無くなる!音楽を聴きたいなら、作業をやめて帰りなさい。それか、君を担当から外す。」
(゚Д゚) ハア??
ちょっと待ってよ!ヘッドフォン1つでその言いようですか!
「人の足音が気になって集中できないからヘッドフォンをしていました。レポート書くときでも、私のデスクは人通りが多いのでヘッドフォンしています。」
と言ってみたが、
「集中してin situをしているときに音楽を聴いているのか?集中しているときに音楽なんて聴いてないだろ!」
なにを~~~~~~~!!実験とデスクワークを一緒にするな!!
ソレとコレが違うことがうまく表現できずに、
ただ否定だけされて私は腹が立って悔し涙が出てきた。
「もう23時過ぎた。残業しろとは言っていない。早く帰りなさい。」と泣き出した私に捨て台詞と吐いて、先生は消えてしまった。
作業は中途半端なまま、それこそ集中力がぶった切れたわけでパソコン周りを手荒に片付けデスクに戻り、そのまま帰った。
集中の仕方なんて人それぞれで、音楽を聴いていたからと言って、毎回歌って結果が曖昧だと思わないで欲しい!!しかも、クライオとin situでは「
静」と「
動」である。
クライオは座って切ってるだけで、次の支持を誰かに相談しないといけないような作業じゃない。半径1m以内の手の届く範囲に必要な物が揃っていればいい。
in situは複数の実験室を歩き回って、周りの音を聞いて中尾さんが近づいてきたことや、タイマーの音を聞いていなきゃいけない。誰しも予測不能な動きをする場合だってある。
今の私が頭ユラユラ、ヘラヘラしていましたか!?真剣さに欠けると言うのは先生からの視点であって、
私は時間を忘れるほど集中していましたよ!!!
先生は個室だから「パタン」と扉閉めれば密室ですよ!先生が部屋で寝ようと、音楽聞いてようと、知る由もありません!
でも、私の密室は耳を塞ぐだけです!
てゆ~か、このオープンスペースでそんなに怒られるとは是如何に?
せっかく夕食をペコさんに誘われて、食堂に行ったときに先生が相席求めて楽しく会話をした話もあったのに、残念だね。
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